(1) 寿命が延びたのは吉か凶か?
(聖書箇所:列王記下18章―20章、歴代誌下29章―32章、イザヤ書36章―39章)
昔から、子は親に似るって申します。たまたま似てない子がいるってえと、「とんびが鷹
を生んだ」なんて言われて注目を集めたりいたします。
イスラエルは南ユダ王国、ここにも親には似ない子供がおりまして、名前はヒゼキヤ、
この名前の意味がスゴイ。「主は(私の)力」っていうんですから、名付けた親はさぞかし
敬虔な信仰者に違いない・・と思ったら大違い。
アハズと申しまして、悪行の数々で名を馳せた王様でございました。
だいたいそういう親に育てられますと、子供ってのは親を見て育ちますからね、親の真
似をして悪に染まるか、反面教師にして正しい道に行くか、どちらかでございますよ。
このヒゼキヤは、後の方。父王の轍(てつ)は踏まなかった。
我々日本人は八百万(やおよろず)の神の国に暮らしておりますから、正月には神社に行っ
て拝み、クリスマスには教会に行って、誰か亡くなればお寺にお世話になる、そんなこと
が抵抗なく出来てしまいますな。
しかしユダヤ民族は違います。
十戒にも記されているとおり、唯一無二の神様を礼拝する国民なのです。
偶像礼拝はこの神様がもっとも忌み嫌われることなのに、このアハズという王様はそれに
どっぷりはまってしまったのでございます。
ヒゼキヤは25歳で王になりまして、29年間治めました。
その間に、父の取り入れていたアシュラ像を打ち砕き、宗教的に乱れていたところを建て
直し、再三攻めてくるアッシリヤに対抗し、敵の侵入に備えてエルサレムに地下水道を
作り・・という大活躍ぶりで、民からも尊敬されたのでございます。
ヒゼキヤの名を後代にまで残したのは、なんと言っても、「水道」でございます。
エルサレムはその昔難攻不落の要害でありまして、その鍵を握っていたのが、枯れない水源
ギホンの泉でございました。兵糧攻めにあっても水に事欠くことはありませんから。
ヒゼキヤは、ここに縦穴を掘り、シロアムの池まで繋がる地下水道を作ったのでございます。
ある先生の旅行記によれば、その距離は直線では335mですが、S字になっているため
533mだそうです。幅は60㎝、高さは2m、落差は2.8mと書かれております。
しかも、わずか6カ月で完成させたということですから、一体どんな工具、業を使ったん
だろうと驚くほかございません。
(故山口明雄先生(ホーリネス教団)が1986年7月~イスラエル旅行をされ、その後10年余り
経ってからまとめたのが「聖書の国イスラエル エルサレム一人歩き」という本です。)
余談でございますが、その難攻不落のエルサレムを落とした勇者がおりました。
かのダビデでございます。彼はこの縦穴の事を知って、そこから侵入したのでございます。
サムエル下5:6 にそのことが記されております。
エルサレムを「ダビデの町」と言うのは、これがゆえんでございます。
話しを戻しましょう。
ところがでございます。だいたい順風満帆の時に悲劇は起こってくるもんでございますが、ヒゼキヤもその例に
もれず、病気になったのでございますよ。
この病は治らない、あなたは死ぬと宣告されて、彼は泣きました。
「まだ死にたくな~い・・」。
どうしたか。
これまでの自分の功績を持ち出して、神様に命乞いをしたのであります。
果たしていかに。
神様も彼の功績を認めていらっしゃいましたよ。15年寿命を延ばしてもらうことが
できたのでございます。ようございました・・となればそれこそようございましたが、
ここで大失態を。
当時一大国家でありましたバビロンの王がお見舞いと称して手紙と贈り物をよこしま
すと、喜んで迎え、宝物庫や武器庫に至るまで家中をみせてしまったのでございます。
自慢したかったのでございましょうが、なんとも幼稚ですな。敵に手の内をさらして
しまうとは。
彼は、それらがすべてバビロンに運び去られ、子供たちが引いて行かれるのを見る
羽目になるのでございます。
そうなるよ、とあの偉大な預言者イザヤを通して告げられた時に彼が思ったことは、
「せめて自分が世にあるあいだ、平和と安全があればよい」
だったのでございますから、かつての主を畏れて忠実だった賢い王とは程遠い、情けな
い姿じゃありませんか。
15年寿命が延ばされたことは、凶であったのか吉であったのか・・
「人が見て自ら正しいとする道でも、その終わりはついに死に至る道となるものがある。」
(箴言14:12)
この言葉が過るのでございます。
ひばりが丘キリスト教会
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